下水道技術者のための電子納品講座
13.ライフサイクルと責任主体
図面の加筆や訂正をする際に、時々勘違いしてしまうのが、ファイル名のライフサイクルとレイヤ名の責任主体の取り扱いです。
ライフサイクルは、ファイル名の先頭の一文字を 測量(S)設計(D)施工(C)維持管理(M)でどの事業段階かを表すもので、設計フェーズであれば、「D」となります。
一方、責任主体は、レイヤ名の先頭の一文字をファイル名と同様に、測量(S)設計(D)施工(C)維持管理(M)とするのですが、ここで間違えてはいけないのは、レイヤ名の場合は、そのレイヤの記述に対して誰が責任を持つのかになります。
すなわち、測量時のレイヤ名の一文字目は、すべて「S」ですが、設計ではそのレイヤの内容について何もいじらないのであれば、そのまま「S」とします。もし同じ図面データの中で、別のレイヤの内容を加筆した場合には、そこで始めて、そのレイヤには「D」と付け替えます。
名前の一文字目は、ファイル名の場合は事業段階、レイヤ名の場合は、そのレイヤに対して責任を負うフェーズとなります。
※明日から下水道展、シビルソフト開発のブースに居りますので、是非声を掛けてください。
12.ラスタデータ
下水道管きょの図面で、図面の上の部分に平面図を配置して下に縦断図を配置する「縦平面図」を描くことがよくあります。その際に、地形平面図はラスタデータを利用することがありますが、このラスタデータを扱う際には次の二点ほどの注意が必要になります。
(1)データの交換仕様
・データ形式:TIFF G4 stripped 形式
・色数:モノクロ(白黒2値)
・ドット上限:A0 400dpi(主方向13,000ドット)
・拡張子:tif
・ビット配列は、主方向から副方向へ時計回りに90°
そして重要なのは、一つの図面には一つのラスタデータのみ扱えるということで、複数のラスタデータを取り扱うことはできません。
(2)図面の保存
ラスタデータを貼り付けた図面をSXF出力する際には、ラスタデータにもファイル名を付さなければいけません。ファイル名は、元の図面ファイルと関連が分かるように図面データと同じファイル名称とします。
図面データファイル名が、「D1PL001Z.P21」ならば、ラスタデータ名は「D1PL001Z.TIF」となります。また、このラスタデータの保存場所は図面データと同じフォルダに格納することになっています。
11.文字・・・>複数の行にまたがる文字列
CADには、複数行となる文字列を1つの文字列要素として扱えるものが多くあります。しかし、SXFでは複数行となる文字列を1つの文字列データとして扱うことはできません。この場合、1行ごとにSXFの文字列フィーチャとして変換して出力するのが一般的です。
文字列の行間隔まで設定できるCADの場合、次の図に示すように、行間隔も考慮して変換するので、見た目は問題なく交換でき、複数行となる文字列を利用することに問題はありません。しかし、行間隔を考慮せずに変換してしまうCADの場合は、変換後の見た目が異なるため注意しなければいけません。
具体的には次の図をご覧ください(画像をクリックすると大きくなります)
8.文字・・・>代替文字その1
機種依存文字なので使えない文字も、記号や文字を組み合わせることによって描画上は問題なく使えるものがあります。
(1)丸数字
①などの丸数字は図形と組み合わせて表現することで対応できます。例えば、文字の「1」と「○」図形を組み合わせて「①」とします。
しかし、この場合に注意しなければならないのは、文字の大きさになります。「○」を他の文章の文字と同じ大きさに合わせると数字が小さくなってしまいます、その際に必ず文字の大きさをCAD製図基準(案)で規定されたサイズで書かなければいけません。規定以外のサイズで書かれた文字の場合、市販のチェックシステムではエラーとなることがあるからです。
7.文字・・・>利用できる文字
CADを利用する上で利用できる文字は、JIS X 0208に規定されている文字になります。そして、機種依存文字を利用してはいけないのはよく知られていることですが、非漢字が機種依存文字と誤解しているようにも見受けられます。
例えば、下水道では頻繁に使われる勾配などを表す単位記号として、パーミル「‰」を使いたいが、機種依存文字なので利用できないといわれることがあります。しかしながら、「‰」は、JIS X 0208の単位記号として区点02-83にあり利用が可能となっています。
次に列記した文字は、JIS X 0208で規定する非漢字の一覧になり、データ交換上の取扱いに何も問題はありません。(ここにある区点番号は10進数なので、JISコード(16進数)とは異なります。)
機種依存文字と利用できる文字の詳細は次のURLにもあります。
http://www.civil.jp/data/moji01.html
5.文字・・・>文字フォント
文字の字体をフォントといい、大きなサイズの文字になってもギザギザのない文字で画面の表示や印刷ができるフォントをTrueTypeフォントといいます。
SXFではこのTrueTypeフォントの利用を想定して仕様書が作られています。ただし、TrueTypeフォントならばどのようなものを使っても文字化けしないで間違いなく交換ができるというわけではありません、図面データを開くパソコン上に同じフォントが用意されていなければなりません。
相手が実装していない特殊なTrueTypeフォントで作図するとデータは渡りませんので、このようなフォントを利用することは控えましょう。Windowsの標準である、「MSゴシック」「MS明朝」などのフォントを利用することをお薦めします。